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明暗を分けた“gutsy call”と“botchy call” [近藤 祐司]

2008年09月19日(金) 18:29

2ポイントコンバージョンをコールしたシャナハンHCの采配に見事応え、逆転劇に喜ぶブロンコスの選手たち。By: Doug Pensinger

2ポイントコンバージョンをコールしたシャナハンHCの采配に見事応え、逆転劇に喜ぶブロンコスの選手たち。By: Doug Pensinger

 ゲーム終了直前、トライフォーポイントのキックを決めれば同点となってオーバータイムに持ち込めるシーンで、“Let go for two!”と即座に逆転を狙う“ガッツィーコール”(gutsy call)を決断できるヘッドコーチは、NFLではなかなかいない。 

 第2週、デンバー・ブロンコスのマイク・シャナハンヘッドコーチがサンディエゴ・チャージャース戦の残り29秒で、負けを恐れずにツーポイントコンバージョンを狙い、同地区ライバルを撃破するに至った決断は、今週のNFLの最もエキサイティングなプレイであった。

「時には、データやスタッツよりも自分の本能を信じないといけないときがある」とシャナハンヘッドコーチは試合後のインタビューで決断した理由について語ったが、「勝つこと」よりも、「負けない」ことを優先する保守的なNFLヘッドコーチが多いなか、試合の流れを完全に読み、2点コンバージョンを意味する「V」サインを高くかざすシャナハンの姿に迷いは無かった。

 反対に、クリーブランド・ブラウンズのロメオ・クレネルヘッドコーチがピッツバーグ・スティーラーズ戦の第4Qにみせた弱気なプレイコールは、今週の“ボッチーコール”(botchy call)の代表格であった。
 
 ホーム開幕2連敗だけはなんとしても阻止したい7点差を追いかけるブラウンズは、第4Q残り7分30秒。ロングパスの成功率が期待できない強風の悪コンディションの中、後半に入って初めてロングドライブで敵陣20ヤード付近まで攻め込んだ。そして、第4ダウン残り7ヤードのキーとなるシチュエーションで、タッチダウンを狙ったギャンブルではなく、フィールドゴールを選択したのだ。 38ヤードのキックが成功して4点差に縮めたのはよかった。だが、戦いに疲弊していたディフェンス陣が、その後のスティーラーズのグランドアタックを止められず、残り時間を殆ど使われる結果となってしまった。  

 
 今年、就任4年目。ブラウンズ史上初の黒人HCとして、なんとしても結果を残さないといけないクレネルHCに比べ、オーナーのパット・ボーレン氏からの信頼も厚く、長期政権が約束されているシャナハンHCとでは、許容される範囲が異なるのかもしれない。 
 
 だが、いずれにせよ、経験が少ない若きエースクォーターバックに託し、全ての責任を負う覚悟で決断し、逆転勝利を演出したシャナハンヘッドコーチの姿にリーダーの逞しさを感じ、私も久しぶりに鳥肌が立つウィーク2だった。

プロフィール

近藤 祐司

近藤 祐司[こんどう・ゆうじ]
1974年 京都府生まれ
立命館大学パンサーズ時代はアメリカンフットボール日本代表を経験。独自の視点と感性をベースにした実況は、種目を問わず定評を得ており、NFL、 NCAAフットボール、NBA、MLBの全てで、チャンピオンシップゲームを実況する唯一のアンカー。NFLはGAORA専属、NBAがWOWOW、NCAAフットボール、MLBではJ SPORTSと多チャンネルで活躍中。7年間の在米経験で得た英語力を武器にした同時通訳と海外取材力は専門記者をも圧倒する。日本では数少ないスポーツ専門のアンカーマン。
近藤 祐司オフィシャルサイト
近藤 祐司のtwitterはこちら>>

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