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元USCの名将キャロルHC、シーホークス再建なるか 後編 [生沢 浩]
2010年07月15日(木) 08:00

シーホークス再建に向け期待がかかるキャロルHC。 AP Images/Kathy Willens
NFLの指揮官としてはタイトルに縁のなかったピート・キャロルHC(現シアトル・シーホークス)だが、USCにおける実績で再評価された形だ。近年では、カレッジで成功を収めたHCでもNFLで苦戦する例が多い。それはカレッジとプロではプレイスタイルが大きく異なるからだ。しかし、キャロルHCはUSCでもプロを意識したと思われるスタイルのフットボールを実践してきた。自身もNFLでのHC経験があり、カレッジから転身したかつてのほかのHCよりもスムーズにNFLに順応できるだろう。
毎年のように選手が入れ替わるカレッジで安定した成績を収めてきたのは、キャロルHCがリクルーティングを重視したからだといわれる。有能なスカウトスタッフをそろえて広く人材を募り、個々の選手の能力を正確に見極めて適材適所の選手起用をする。選手の長所を的確に把握しているからこそアグレッシブなプレイコールが可能で、それが随所でいい結果をもたらしてきた。
シーホークスもこうしたキャロルHCの手腕を重視している。当初予定していた球団社長兼任の計画は実現しなかったものの、キャロルHCには実質的にGMとしての権限も与え、選手獲得に大きな発言力を認めている。すでに解雇されてしまったが、かつてUSCで指導したランニングバック(RB)レンデイル・ホワイトをテネシー・タイタンズからトレードで獲得したのも、キャロルHCの意向が強く働いたからだと言われる(ホワイトはその後NFL規約違反で4試合の出場停止処分を受けた。これを事前に察知したシーホークスが解雇を決断したとの情報もある)。
シーホークスは2003年から5年連続でプレイオフに出場(うち最終4年は地区優勝、2005年にはスーパーボウル出場)したが、過去2年は大きく負け越している。シーホークスはキャロルHCがすばやくチームを再建し、さらにUSCで培った絶妙な選手起用によって長期に渡って安定した力を発揮するチームを構築することを期待している。シアトルのような経済的に小さいマーケットでは、チームの成績は収入に直結する大きな要因だ。2009シーズンにマイク・ホルムグレンHCの後を継いだジム・モーラHCをわずか1年で解雇した背景にはこういった事情もあるのだ。
キャロルHCはUSCでの実績とともに、まさに鳴り物入りでNFLに復帰する。カレッジ界に旋風を巻き起こしたキャロルHCがシーホークスにどのような成果をもたらすのか。2カ月後に始まる2010年シーズンの大きな注目ポイントである。
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プロフィール

- 生沢 浩[いけざわ・ひろし]
- 1965年 北海道生まれ
ジャパンタイムズ運動部主任。編集プロダクション『InsideBlitz』編集主幹。上智大学でフットボールのプレイ経験がある。本業の傍ら、『アメリカンフットボールマガジン』、『タッチダウンPro』などに寄稿。NFLは1993年から毎シーズン現地で取材している。現在、NHK衛星放送および日本テレビ系CSチャンネルG+のNFL解説者。訳書に『NFLに学べ フットボール強化書』(ベースボールマガジン社刊)がある。日本人初のPro Football Writers Association of America会員。
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