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名門スタンフォード大に日本人スタッフ、夢はNFL入り [渡辺 史敏]
2010年05月11日(火) 08:00

スタンフォード大のスタッフとして修行を積む河田さん。
スポーツとアカデミックの両方で全米屈指の名門校として名高いスタンフォード大学。そのフットボール・チームに1人の日本人スタッフがいる。Xリーグ、オービック・シーガルズでOLとして活躍し、1999年第1回ワールドカップで日本代表にも選ばれた河田剛さんだ。河田さんは2004年から2006年までシーガルズでオフェンス・コーチを務めた後、2007年にスタンフォード大のコーチングスタッフ入りし、現在はオフェンシブスタッフ・アシスタントを務めている。
スタンフォード入りのきっかけは、NFLファルコンズにあった。2000年まで49ersでOLとしてプレーしていたクリス・ダルマンが2005年にファルコンズのアシスタントOLコーチに就任。河田さんはその年のスプリングキャンプに参加し、彼と知りあったのである。そして2007年にアメリカに拠点を移す際、ダルマンがスタンフォード大のランニングゲーム・コーディネーターに就任したことを知り、連絡をとってボランティアのコーチスタッフとして採用してもらったことが第一歩になった。
NFLでもよくコーチの人脈といった話が出るが、そのことが実感できるエピソードといえるだろう。ただ最初はあくまでボランティアで、3カ月間しかアメリカに滞在できなかった。以降もチームに帯同するチャンスを得るためには、その短い期間で自身の能力を認めてもらわなければならなかったため、大変だったと河田さんは語る。「馬車馬のように働きました」とのことだ。
その甲斐あってスタッフの一員として定着した河田さんだが、ハードワークは今も変わらない。フィールドではランニングゲーム・コーディネーター(OT/TE担当)とOLコーチ(OL全体)のアシスト業務を、オフィスでは、シーズン中はスカウティングとそれを元にした資料作り、ゲームプラン(特にランニングゲーム)の作成等、オフェンスのアシスタント業務全般を行っているとのこと。
1月から7月までは週1、2日の休みがとれるものの、キャンプインからシーズンが終わるまでは休みがほとんどないという。昨シーズンの場合、半日のオフが2回あっただけで、しかも朝6時前にオフィスに行き、帰るのは夜中の12時前後という日々が続いたのだとか。コーチは本当に厳しい職業だ。
スタンフォード大は、コーチングスタッフにNFL出身者が多いのが1つの特徴となっている。ヘッドコーチを含むフルタイムのコーチ10人中6人がNFLでコーチ歴があり、攻守のコーディネーターもNFL出身。さらにアシスタントにも4人のNFL経験者がいる。攻撃はウェストコーストオフェンスを採用しており、こうしたことからスタンフォード大出身者はNFLにフィットしやすいという評価を受けているほどだ。このことはチーム側も意識しており、高校生に送った勧誘レターにはスタッフの総NFL経験年数である「118」という数字がキーワードに使われたほどだという。
そんな同チーム出身のRBトビー・ゲルハートが今年のドラフトで2巡(全体51位)でバイキングスから指名され、注目を集めている。近年珍しくなった白人RBだが、大型でパワフルなランナーとして評価され、高順位での指名を得ることとなった。河田さんによればタックルの芯を外すのがうまく、簡単に倒されない点に秀でているとのこと。また、リーダーシップを取るタイプではないものの、プレイへの真摯な姿勢が高く評価される人格者という点も魅力だという。
ただ話すのではなく、「人に教える」英語の習得に苦労したという河田さんは、今後カレッジでフルタイムの仕事を得るとともに、NFLを経験することも大きな目標のひとつに挙げている。NFLに日本人コーチが登場する日が来ることを期待したい。
プロフィール

- 渡辺 史敏[わたなべ・ふみとし]
- 兵庫県生まれ
ニューヨーク在住。出版社勤務を経て、1995年フリーランスとして渡米。現在はアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ連載コラム:NFL最前線』、『Number』、『週刊アスキー』などで執筆中 。NFLは毎年キャンプからスーパーボウルまでを現地で追いかける。
渡辺 史敏のコラムはこちら>>
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