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難破船に乗った海賊 レイダース復活はいつ? [近藤 祐司]
2010年02月26日(金) 13:03

強権発動するレイダースのデービス・オーナー。 AP Images/Paul Sakuma
オフシーズンに入り、今、各チームのフロントは、現地3月5日のフリーエージェント(FA)解禁日までに保有する戦力を見直し、来シーズンに向けて、無駄を省いて弱点を補強するというウィニングチームの土台をつくるべく重要な作業を行っている。FAとなる選手の能力をしっかり見極め、必要と判断した選手と適正な価格で契約して、長期的に戦力を安定させることがフロントの手腕が最も問われるところである。
そんな中、2002年シーズンの第37回スーパーボウル出場以降、坂を転げ落ちるように低迷し、未だ上昇する気配がないオークランド・レイダースが、プレースキッカーのセバスチャン・ジャニコウスキーと結んだキッカーとしてNFL史上最高額となる、4年1,600万ドル(約14億3,000万円)という大型契約がリーグ関係者に衝撃を与えている。
レイダースは、昨年のオフも、生え抜き選手であるコーナーバック(CB)ナムディ・アソムハやパンター(P)のシェイン・レクラーと高額長期契約をしており、リーグ関係者のみならず、ファンの間でも、チームの補強や編成に大きなクエスチョンマークが出ているのだ。
Pのレクラーも、ジャニコウスキー同様、昨年、4年1,200万ドル(当時約11億2,000万円)というNFLパンターとしては史上最高額のモンスター契約を締結。レクラー、アソムハ、ジャニコウスキーの3選手だけで、レイダースは2010年シーズンに2,225万ドル(約19億8,000万円)のサラリーが発生する。
有能な選手と契約するため高額サラリーが発生するのは、プロスポーツの常識である。レクラーに関して言えば、オールプロに5回選出され、歴史を見てもリーグを代表する安定感抜群のPである。しかし、33歳のレクラーと新たな4年の高額な再契約をする必要があったのかは疑問が残る。また、アソムハもNFL屈指のシャットダウンコーナーであることは誰もが認めるところだ。が、レイダースはあまりにランディフェンスが弱いため、敵はアソムハのサイドを避けて戦っても十分に得点でき、アソムハが効果的な戦力になっていないのが現状だ。
そして、今回のジャニコウスキーについても、昨季の成績だけをみれば、キャリア最高のFG成功率(89.7%)を記録し、40ヤード以上の長いFGの本数や成功率(18本中15本成功)を見ても安定感ガあった。プライベートで数多くのトラブルを起こし、プロボウルにも一度も選出されていない“ローカル”なキッカーにこれだけ高額な長期契約を結ぶ必要があったのか、大いに疑問が残るところだ。
レイダースといえば、“名物”オーナーであるアル・デービス氏の意向が契約に強く反映することで知られ、ジャニコウスキーもそんなデービス氏の意向が働いているのは一目了然である。デービス氏の独断で、2000年ドラフトでジャニコウスキーをキッカーとしてNFL史上3人目の1巡目で指名されたことは有名で、デービス氏が特に目にかけているのはよく知られる話だ。
レイダースは、それ以外にも、ロングパスが得意なことで、ドラフト1位指名で入団したクォーターバック(QB)ジャマーカス・ラッセルに945万ドル(8億4,000万円)、昨年、獲得したディフェンスエンド(DE)リチャード・セイモアにも1,230万ドル(約11億円)のサラリーを来季支払わねばならず、名前を出した5人の選手だけで合計4,400万ドル(約39億円)に達する。2009シーズンのチームのサラリーキャップ額だった1億2,700万ドル(約113億円)で計算すると、レイダースは残り8,300万ドル(約74億円)で48人のサラリーを支払うバランスを欠いた状況になっている。(選手一人平均約170万ドル)
このように常識を離れた選手のサラリーバランスの状況は、選手間に“あいつはあれだけもらっているのに俺はこれだけか?”というような不満を生じさせ、勝利へのモチベーションを保つことがますます難しい状況になっている。
リーグと選手会の間で新たな労使協約がまだ締結しておらず、来季のNFLはサラリーキャップがなくなることが濃厚となっている。だが、それでもアメリカの経済状況を考えれば、球団の財布の紐は今後ますます固くなることが予想され、デービス氏の財布も例外ではない。
レイダースの復活を期待するコアファンは日本にも数多く存在するが、今回、チームがジャニコウスキーと結んだ高額契約を見ている限りは、まだ復活の日は遠いようだ。
プロフィール

- 近藤 祐司[こんどう・ゆうじ]
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1974年 京都府生まれ
立命館大学パンサーズ時代はアメリカンフットボール日本代表を経験。独自の視点と感性をベースにした実況は、種目を問わず定評を得ており、NFL、 NCAAフットボール、NBA、MLBの全てで、チャンピオンシップゲームを実況する唯一のアンカー。NFLはGAORA専属、NBAがWOWOW、NCAAフットボール、MLBではJ SPORTSと多チャンネルで活躍中。7年間の在米経験で得た英語力を武器にした同時通訳と海外取材力は専門記者をも圧倒する。日本では数少ないスポーツ専門のアンカーマン。
近藤 祐司オフィシャルサイト
近藤 祐司のtwitterはこちら>>
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